これは最近開かれたシリコンバレー・リーダーシップグループ主催のデータセンターエネルギー効率化コンファレンスでのクラウドのパネルの報告です。
モデレータはAccenture のTeresa Tung 氏、パネリストはスタンフォード大学のJon Koomey先生とForrester のJames Staten氏でした。
左から James Staten, Jon Koomey, Teresa Tungの各氏
報告をする前に前提を議論しましょう。クラウドにはパブリックとプライベートがあります。
更に、どこにクラウドが設置されるかによって外部と内部という分け方もあります。そうすると組み合わせは3つになります。つまり、 (1) 外部でパブリック, (2) オンプレミスでプライベートそして(3) ホストされたプライベートです。パブリックで内部というのはありません。このパネルの議論はパブリック・クラウドとエンタープライズのデータセンターを比較したものです。ですから、ここでの議論はパブリック・クラウドを利用した場合と自前のデータセンターを利用した場合ユーザーに取ってどちらがエネルギー効率が良いかということです。
結論から言うと、コスト比較は割合と容易で多くの例が報告されていますが、エネルギレベルでの比較に関するデータはほとんどないと言う事です。これは、計測が困難なこととクラウド・プロバイダーがデータを発表しがらないからです。以下はこのパネルの要約です。
クラウドの基本
- 一般にクラウドでは同質のタスクが大量に存在する。
- 規模の経済のおかげでコストは広範に分けられる(エネルギー消費も同様)
- 物理的サーバーからバーチャル・サーバーへの移行はコストとエネルギー消費を削減できる
- クラウドを利用すると企業内のめんどくさいプロセスを回避できる
SaaSとIaaS は規模の経済を利用:
- SaaSでは同質性はmultitenancyで実装されている。それぞれのクラインとを1つのプロセスやスレッドでサポートするのではなく、1つのインスタンスで全てをするため効率が良い。
- IaaSでは同質性は1つのハイパーバイザーのレベルで実現される
- クラウドを使用する場合、タスクは自前のデータセンターとクラウド間を信号を送受信することでタスクを遂行する。どちらがよりエネルギー効率が高いかはこのトランザクションのコストも加味する必要がある。
クラウドコンピューティングによる具体的な経費節減とエネルギー削減の例
- 経費節減の例は豊富にあるが、エネルギーに関してはほとんど報告されていない。しかし、Accenture はクラウドコンピューティングのプロバイダーに関する情報を11月に発表の予定。
- マサチューセッツ州立大学ではDNA 解析に自前のデータセンターでは10億円程度掛かり数年の年月を要するので、Amazonのサービスを利用したところ、わずか2万程度でしかも数時間で結果を入手できた。
- 一般的にクラウド・プロバイダーはサービスやインフラのプロビジョニングに優れている
- 会社の構成が簡単でフラットであり多くの部門との調整のオーバヘッドが少ない。
- リソースの使用率が60%以上だと利益が上がると言われている。1つの物理的サーバーにできるだけ多くのVMを配置しようとする。また、一般的にVMは長く同じサーバーにとどまらないので、規模の経済をうまく利用できる。
15年後まだ自前のデータは存在するのか
- 大部分のコモディティのアプリはクラウドに移行する。しかし、クラウドは特別な機能や性能を求める人には向かない。そのため、データセンターがなくなることはない。
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