東京電力の技術開発研究所を訪問して、東電のサービス地域での電力事情と電気自動車の急速充電の話を伺いました。前回の電力事情の話に続き、今回は急速充電に関して報告します。以下は質疑応答を質問とその回答という形で編集してあります。
お話は電動推進グループの主任研究員の丸田理氏と同じく国際関係担当シニアマネージャーの青木浩行氏です。(写真はクリックで拡大)
丸田氏(左)と青木氏(右)
東京電力は、急速充電コンソーシアムのCHAdeMO協会に参加しています。この協会の幹事会員は東電の他、トヨタ、日産、三菱自動車、富士重工です。
Q:CHAdeMOを設立する際に東電が中心的役割を果たしたのか。
A:急速充電器と電気自動車のインターフェイスを設定した。具体的には、プロトコルとコネクタを指定した。実装は自動車会社が行った。インターフェイスの設定だけなので、内容は各社がそれぞれ実装できる。
Q:CHAdeMOのメンバーはどのような会社か。
A:自動車会社の他、電源、バッテリ、他の電力会社など、200社を超えている。
http://chademo.com/soshiki/kaiinnichiran.pdf
Q:急速充電には特殊なバッテリが必要なのか。ウェブサイトにあったECUとは何か。
A:バッテリは走行中ずっとモニターされている。これを電気自動車で行うのがECUだ。ガソリン エンジンの自動車でもさまざまな電子制御にECUは広く使われている。ECUは小型のコンピュータと考えて差し支えない。ECUは,バッテリの性能・特性に応じて最適に管理する。例えば、バッテリの温度が上がりすぎた時は、流れる電流を抑えて温度を調節する。
Q:CHAdeMOは「茶でも」というのにも引っ掛けていると聞いているが、30分でも長いと感じる人がいると思うが。
A:自動車会社は30分で「満タン」にできると宣伝している。しかし考えてみれば、ガス車と同様、普通バッテリが完全に空になるまで待って充電するのは稀だ。そのため、通常の充電は10分程度で済むはずだ。急いでいる場合、5分もあれば更に40km程度は移動できるようになる。
Q:急速充電対応の車は常に急速充電する必要があるのか。
A:普通の電気自動車は通常充電(100-200V)と急速充電(300-350V)の接続口があるので、どちらでも選択できる。
Q:急速充電するとバッテリの寿命が短くならないか。
A:ECUで常にバッテリの状態をモニターしているので、バッテリに問題が生じそうになれば適切な処置を講じる。例えば、温度が高くなりすぎると電流を下げて調節する。現在までの実験では、急速充電はバッテリの寿命に関係ないという結果が出ている。
Q:日本全国に数多くの充電ステーションがあるが、あれは実証実験のためか。
A:現在200箇所ほどあるが、実用として使用されている。また政府の助成金も出る。
Q:米国での電気自動車の実現についてはどう見ているか。
A:米国の標準電圧の120Vで10時間充電すれば110kmから120km走ることができる。それより速く充電したければ、急速充電のインフラを建設する必要がある。インフラを戦略的に設置すれば、新たな電力需要による電力網への影響はわずかだ。
Q:電気自動車は今後どう発展していくか。
A:日本に続き、ヨーロッパの自動車会社も電気自動車の開発を計画している。米国ではエネルギー省からの助成金でオレゴン州ポートランド市を始め5箇所で電気自動車を展開する予定だ。こういうことで、電気自動車の市場に火が点くかもしれない。
日本では電気自動車が熱い。電気自動車の時代はもうすぐだろうか。
2010年9月28日火曜日
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