2010年4月16日金曜日

日本の燃料電池(固体酸化物形)

今年の2月の初めシリコンバレーでBloom Energyが燃料電池製品を発表しました。著名なVCが投資していることやその製品が既にeBayやGoogleで採用され使用されていることで、大きな注目を浴びました。燃料電池は周知のように水素と酸素を反応させることで、電気を発生させます。燃料電池には使用される電解質の種類によって数種類に分類されます。Bloom Energyが固体酸化物形(SOFC)の燃料電池を展開しており、それが一番進んでいると主張しています。日本出張にあたり日本でこの型の燃料電池を開発している会社及び団体を訪問して取材しようと思い、「固体酸化物型、燃料電池」で検索して新エネルギー財団(NEF)を訪問しました。計画本部の燃料電池部長の奥田誠氏が対応してくださいました。写真は奥田誠氏。

NEDOでは、固体酸化物形の他固体高分子形(PEFC)の燃料電池技術の開発/実証/製品化に関する11のプロジェクトが進行しています。PEFCは一般に小型定置用(家庭用)及び燃料電池自動車に、SOFCは定置用(小型の家庭用からそれより大型の業務用、産業用)に向きます。(その他に主な燃料電池の型はリン酸形、PAFCと溶融炭酸塩、MCFC)

SOFCが有望視されるのはその変換効率が一番良いからで、規模が大きくなると変換効率が大きく影響を与えるからです。このブログではSOFCのみに言及します。NEFのSOFCの活動はhttp://sofc.nef.or.jp/ に記載されています。参加企業や実証実験の状況などの詳細情報が掲載されています。

更にNEDOのページには以下に示すようにSOFCのロードマップが示されています。ロードマップの出典はNEDOです。



SOFCはその提供電力量によって4種類に分類されます。
  • 家庭用 (1kW ~ 数kW)
  • 業務用 (数kW ~ 数百kW)
  • 産業用 (数百kW ~ 数mW)
  • 事業用・自家発電 (数mW ~)

現在は家庭用の小型のものに焦点があたっている。小型のものは2015年頃4万時間連続運転でkWあたり100万円程度の価格を目標に開発が進められています。データセンター級の電力需要である数MWは2020年頃に普及し始めると予想されています。

現在NEFは家庭用燃料電池の実証実験の解析を行っています。実証実験に参加している企業は大手のガス会社(例大阪ガス、東京ガス)、電力会社(例:東京 電力)と石油会社(新日本石油)とTOTOです。新日本石油会社以外は全て燃料は都市ガスですが、新日本石油会社はLPGと灯油を燃料としています。メー カーとしては京セラ、TOTOなどがあります。SOFCは電解質が基本的にはセラミックだからだそうです。

奥田氏と色々と意見交換をしました。日米の燃料電池の開発に関しては資本量の違いと共同作業の有無が上げられます。Bloom Energyには2001年創業で現在までに400億円が投資されました。これに比較して、日本ではSOFCの実証研究事業には国から12億円の助成金が 投じられています。

更に、実証実験は日本の方は詳細に行っており、果たして1年程度の運転期間しかないBloom Energy の信頼性はどうなのかという疑問が残ります。SOFCの運転温度は700-1000度Cでこのため、この高温に耐えることのできる材質を開発することが重 要で、長時間の高温度での運転を実証しなければなりません。NEFは実証実験の結果をウエブで公開しています。その他色々と有効な情報を提供しています。 パンフレットはその代表でしょう。

後日Bloom Energy社を訪問する予定があるので、実証実験やその他のデータの提示を求めたいと思います。






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