2009年10月29日木曜日

Grid Dynamics社訪問(クラウドのSIer)
















Victoria Livschitz氏

Grid Dynamics のCEOのVictoria Livschitz氏を訪問して色々とお話を聞きました。

クラウドコンピューティングの分野を調査・研究しているとたくさんのプロバイダーに遭遇します。しかし、そのサービスも専門知識がないと利用できません。Livschitz氏はGrid Dynamicsがクラウドに特化したSIerだと規定しても構わないと述べました。クラウドが議論される時はSaaS (software as a service)、PaaS (platform as a service)とIaaS (infrastructure as a service)が主に語られます。あたかも、こういうサービスがあればそのサービスを使ってアプリケーションなどを簡単に構築できると思い勝ちです。しかし、実際にはなんらかのSIが必要となります。このSIのサービスをGrid Dynamics社が提供するというわけです。

Livschitz氏はサン社の出身で、サンのグリッド・システムのプリンシパル エンジニアでした。その経歴からか会社はGrid Dynamicsと名前をつけました。2006年に創始され約230名の社員を抱えていますが、大部分の社員はエンジニアです。 カスタマーは一流の企業でそのコアになるシステムにサービスを提供しています。そこで、なぜ今までGrid Dynamics のことをあまり聞かなかったのかと聞きました。これに対する返答は当初はコアになるカスタマーを確保することに重きを置き、プローモーションを後回しにしたからだと言う事でした。

読者の方はグリッド・コンピューティングとクラウド・コンピューティングの違いは分かっていると思いますが、Livschitz 氏の説明はこうです。グリッド・コンピューティングは主に科学数値計算に使用されますが、数値計算は幾つかの小さい部分に分けて個別に計算することができるので個別に処理します。また、始めと終わりがはっきりしています。対照的に一般的なコンピューティングにははっきりとした始めと終わりがありません。

クラウドの市場はどうなんでしょうか。Livschitz 氏は2つのタイプのカスタマーを上げました。グローバル5,000の大手と中小企業(SMB)です。 グローバル5,000はクラウドをどの様に利用するか現在検討中で、SMBsはハードやソフトやネットワークのアクセスを考えなくて済むことで利用度が高い。Grid Dynamicsの3種類のカスタマーは、エンドユーザー、プライベート・クラウドのプロバイダーとパブリック・クラウドのプロバイダーです。更に、MSとOracleが大手のパートナーです。

次に、セキュリティに関して聞きました。当然暗号と認証の問題が出てきます。セキュリティのなかで、特定の質問をして見ました。それはIDをどのように管理するのかという事です。1,000 名程度のユーザがあるクラウドのサービスを使用しているとしましょう。この管理は結構大変です。このIDは会社全体のIDに連携しているかも知れません。例えば、給料計算や社員食堂の支払いなどです。 IDの管理を容易にするためには、なんらかの標準を当てはめるのが必要でしょう。Livschitz 氏はまだ浸透しているとは言いがたいが、OpenIDの動きが有望だと語りました。

クラウドの将来について聞いて見ました。今後クラウドは多くの規模や異なった機能を持つものに分化して行くと予想している。規模の小さいプロバイダーは使用していない容量を大手や他のプロバイダーに提供することもあるのではないかと言うことです。更に、バーティカルの市場に特化するものも出てくるだろうということです。例えば、リーテル、金融や高速コンピューティングなどです。

Livschitz氏はクラウドは将来のコンピューティングの形態になるだろうと予想しています。それの延長の質問で、「テレコムとインターネットは融合したが、電力やガスのようなユーティリティもそれと融合するか」と聞いたところ直ぐには起こらないが、何年もの間には起こり得ると回答しました。

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